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キスまでの距離

ある寒い雨の日の夜、私はずぶ濡れになりながら仕事から帰って来ると
シェアハウスの前に人影があった。
雨の中、何をしているんだろうと思って、ぼんやり眺めていると
傘で半分隠れているが、男と女がキスをしているのがはっきりとわかった。
しかも、かなりハードなディープキス。





女の方はシェアメイトだ。
私は、わざとドタドタと足音をたて、乱暴にガラリと門を開けた。
「こんなところで、キスするな」
という意味を込めて。
でも2人は動じるどころか、キスを続けている。
私の方が恥ずかしくなり、逃げるようにシェアハウスに駆け込んだ。

私が住んでいたシェアハウスは、閑静な住宅街にあった。
ご近所の住人はみんな上品な方々ばかりで
わけのわからんシェアハウスなんていう場所で共同生活を送っている
若者達を歓迎していなことは想像がついていた。
そんな環境の中で、うまくご近所付き合いを続けるためには
ゴミの分別をきちんとすることと、こうした破廉恥行為をしないこと。
この2点に尽きる。

それなのに、路上のキス。
しかも20代前半の若い子ではなく、30代半ばのシェアメイトがだ。

初めて生でキスシーンを目の当たりにしたのは、小学2年生の時。
祖父が入院していた病院にお見舞いに行った際
退屈だったのでジュースを買いに行こうと、エレベーターを待っていたら
突然、開いたドアの向こうで、若い男女がキスをしていた。
男はエレベーターから出て行き、女はその場で顔を隠して私を見ていた。
なぜだか心臓がドキドキして止まらなかった。

あれから20年以上が経ち、自分もキスを経験した。
それでも他人のキスシーンに遭遇すると、平常心ではいられなかった。

雨の中で、傘をさしたままのキス。
きつい体勢にも関わらず、キスを続けていたのは
お互いの唇を、お互いがよほど欲していたに違いない。

いいな。そういうキス。
私が彼女に対して感じたのは、怒りではなく、嫉妬だったのかもしれない。
あれから時が経ち、素直にそう思えるようになった。


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by roomsharestyle | 2010-02-10 00:07 | シェアハウス
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